“究極のチーズケーキ”を作ったのはITベンチャー社長 独特ののうまみと食感を生み出せた理由
カギはクラウドファンディングと口コミ
「専門の分析機関に依頼して調べたところ、熟成によってグルタミン酸が1.8倍、粘性が8.3倍に増加していました。一方で水分量は0.69倍に減少。つまり熟成によって濃厚さやコク、うまみが増えることが証明されたのです」
もう一つのポイントが、小麦粉を一切使わないグルテンフリーであること。実は子供がアレルギー体質だからだ。グルテンフリーは小麦粉を入れなければそう認められるので、米粉などを入れる場合が多いが、田和氏はそれをしなかった。
「粉を入れると吸水率が上がり、ねっとりとしますが、粉っぽさが出てしまいます。しかし、粉を入れずにねっとり感を出すのは難しい。試行錯誤の末、熟成にたどり着いたのです」
安易に他の粉を使わなかったことが、結果的に一味違ううまみと食感を生み出したのだ。
しかし、パティシエでもない田和氏がなぜチーズケーキ作りに乗り出したのか。そこには、コロナ禍での苦闘の日々があった。=【後編】につづく
(取材・文=いからしひろき)
▽田和充久(たわ・みつひさ) 1970年、浜松市生まれ。ネット業界で8年勤務後に独立。2021年12月、1年以上の試行錯誤を経て開発した「熟成バスクチーズケーキ」をクラウドファンディングで発売し、達成率2700%となる813万円の支援を集める。その後、口コミで人気を集め大手通販サイトなどで記録的な売り上げを誇る。公式サイト<https://agingcheesecake.jp/>