日本果汁 河野聡社長(1)唯一無二の柑橘系チップスが大ヒット
2009年に日本果汁を立ち上げた河野にとって、果汁以外も加工し、販売することは、当初から取り組んできたテーマだ。
「果物を加工する場合、搾って果汁にするのが基本ではあるんですけど、皮を使うというところは、ずっとこだわってやっています。砂糖漬けにしてお菓子の材料に使ったり、抽出してオイルやエキスにしたり。リキュールやスピリッツ、フルーツソースなどにも加工しています」
同社ではレモン、ゆず、すだち、みかん、メロン、パッションフルーツなど100種類以上の果実を全国の農家から仕入れている。その全てを丸ごと有効活用してきた。捨てずに使うことが、日本の農業の支援につながると考えているからだ。
山口県の周防大島に生まれ、祖父が農業を営んでいた河野は、農業の衰退を肌で感じていた。日本の農業就業者の平均年齢は68歳と高く、耕作放棄地は40万ヘクタールと滋賀県の面積に匹敵する。とりわけ91年のオレンジ自由化で大打撃を受けたみかん農家には廃業が目立つ。70年は37万戸だったが、21年に2.2万戸まで減少している。