すべてが異様だった都知事選を総括・分析 悪夢のような結末は歴史の分岐点になる予感(上)

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まんまと奏功した政権与党のステルス抱きつきに加担した大メディア

 政権与党の自公両党は前回の都知事選に続き、自前の候補を擁立できなかった。裏金事件の猛逆風で誰を立てても惨敗は確実。そのため、嘘つき女帝にひれ伏し、ステルス支援という姑息な手段を選んだ。主導したのは萩生田党都連会長である。

 役職停止処分をくらった「ミスター裏金」が今なお都連会長に収まっているのは、小池とのパイプ役を期待されてのこと。自公と小池の協力関係には腐臭がプンプン漂う。

 選挙の裏に萩生田アリの「萩生田百合子」の争点化を嫌い、小池は自民党色を徹底排除。序盤は街頭に立たず、自身の疑惑の核心を突くフリー記者を完全無視し、テレビ討論会も公務を理由に断り続け、最後まで「逃げの選挙」を貫いた。

 そのくせ、自民の組織票欲しさに、党都連が呼びかけた「各種団体総決起大会」に駆けつけ、せっせと“組織固め”に精を出した。「いただき女子」も真っ青のいやしさだが、まんまと奏功した政権与党のステルス抱きつき、不都合な真実を隠す小池のダメージコントロールに、大手メディアも加担したのだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。

「2期8年を務めた現職知事が議論から逃げるのは『恥』です。小池知事にテレビ討論会を断られたら、その旨を視聴者に伝え、他の主要候補だけで開催すればいい。小池知事の逃げの姿勢を知らせるのも、有権者の投票行動に有益な情報となる。一方でテレビのコメンテーターは蓮舫氏の小池都政に対する批判や提言を『攻撃』と言い換え、ネガティブな印象操作も行った。これでは現職知事への忖度です。健全な民主主義は情報の開示と真摯な議論があればこそ。選挙の実相を伝えない大手メディアは、もはや民主主義の敵です」

 最終盤に小池の街宣で巻き起こった「辞めろ」コールを伝えたり、石丸の危うさを検証する報道はほぼ皆無だった。大手メディアがまともに機能していれば都民の「地獄の選択」は避けられたに違いない。

次は【批判票がトリッキーな石丸に流れたのは政党政治の分岐点】

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