事件から1年たって見えてきた…ススキノ頭部切断事件の深層
『お姉さん(Aさん)が一番、反省しなきゃいけないのは、私との約束を破ったことでしょ』
言葉と同時に、瑠奈の殺意が爆ぜる。刃渡り約八・二センチの折り畳みナイフを、Aさんの背後から右頸部に何度も突き立てた。(中略)その後、瑠奈は用意していたノコギリを使い、約十分でAさんの頭部を切断した」(週刊文春)
これを読みながら私は、現代編集長時代(1997年)に起きた14歳の少年Aの事件を思い出していた。小学6年生の男の子の頭部を切断し、小学生の女の子をハンマーで殴り殺し、少年法を50年ぶりに改正させた事件だった。
少年Aの母親が事件の2年後に書いた手記の中にこういう記述がある。
「小6のとき、粘土の固まりを人間の脳に見立て、剃刀を突き刺した」「人の命なんか蟻やゴキブリの命と同じやと、先生にいい放った」「ホラー映画が好き」「頭から脳がはみ出て、目玉も飛び出している空想の友達を作り出した」など、ススキノ事件と共通する点がいくつもある。「繊細でやさしいところのある子」(Aの母親)がなぜ?
異常な家庭が生み出した“異形の犯罪”と切り捨てずに、2つの事件を「子育て」という“観点”からいま一度、徹底的に分析してみる必要があると思う。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)