<第11回>ある新弟子の一日
どの部屋もちゃんこ番は幕下以下が持ち回りで行うが、将来有望な力士は免除されることもある。「相撲部屋も、見込みのある力士とそうでない力士の扱いには差が出る。親方の対応の差を見て自分の限界を悟り、出世レースからドロップアウトした者は自らちゃんこ番に精を出すケースが多い」とはある力士だ。
12時、食事を終えた後は掃除の時間だ。稽古場だけでなく、玄関や大部屋など、建物全体の掃除を行う。その後は昼寝の時間だが、兄弟子や親方の使い走り、夕食の買い出しなど、新弟子は雑用が多い。それでも何とか時間をつくって眠らなくては体が持たない。
午後4時起床。厨房に下りてジャガイモの皮むき、食器の準備など、ちゃんこ番の手伝いや下ごしらえを行う。
午後7時、夜のちゃんこ。この日は豚肉と野菜を使った醤油仕立て風。かつての相撲部屋は「手をついたら負けだから」と牛や豚など四つ足動物を嫌っていたが、昨今はそうしたことはほとんどない。もちろん、外国人力士といえど、好き嫌いは厳禁。「嫌いなものを残すと、翌日のちゃんこで倍の量を食わされる」(モンゴル人力士)という。