白鵬は“変化”否定 稀勢の里戦で噴出した空虚な「相撲道」論争
春場所は白鵬が日馬富士を寄り切って6連覇(自身2度目)と、史上最多を更新する34回目の優勝を決めて幕を閉じた。
白鵬は「初場所に(優勝回数の)新記録を達成して、それにふさわしい優勝。1つ、2つ上に行ったような相撲内容だった」と自画自賛したが、14日目の大関・稀勢の里戦での立ち合い右変化には、会場から猛烈な罵声が飛んだ。13日目はモンゴル関脇・照ノ富士に寄り切られ、連敗が許されない。しかも相手は、38勝11敗と苦手にしている大関だ。北の湖理事長は「思ってやっていたなら横綱らしくないが、とっさならしょうがない」と言った。
当の白鵬は23日、優勝から一夜明けた会見で14日目の一番について、「そう思われるならしょうがない。残念です」としながらも、身振り手振りを交え「自分の中では変化じゃない!」と断言。「皆さんにはもう少し相撲を勉強してもらいたい」と苦言を呈し、稀勢の里戦後に会場から飛び交ったヤジにクギを刺した。
こうした状況で決まって議論されるのが、「横綱の品格」や「相撲道」。ところが、相撲ファンの松野弘氏(東農大客員教授)は、「好角家は、横綱らしい相撲を取れとか、変化は相撲道に反するというが、相撲道なんてものはない」と続ける。