もう2000億円集まった東京五輪 協賛企業の“奮発”に疑問の声
それにしても、東京五輪にこれほどの大金が集まるほど日本は景気がいいのか。
確かにアベノミクスによる円安の恩恵を受けた大企業は、労働組合のベア要求に応じ、ボーナスも満額回答を出したが、円安と昨年4月の消費税増税による物価上昇がネックとなり、大企業の利益が中小・零細企業にまで波及していない。ビジネス評論家の菅野宏三氏が言う。
「一般に大企業で働く就業者は全体の5%ともいわれている。しかも、非正規雇用は4割近くまで増えており、彼らにはボーナスの話もほとんど関係ない。サラリーマンの楽しみである帰宅前の一杯だって、今は1000円札1枚で酔えるセンベロなんて言葉が流行する時代です。景気がいいのは、一部の大企業に勤める人たちの話であって、多くの人は実質賃金の低下で財布のひもを固くしています」
国民の実情はこれだ。五輪のために山ほど金を出す企業が後を絶たないようだが、その一方で森会長には、大金を集めなければならない事情もある。
五輪といえば金のかかるビッグイベント。08年北京大会には約430億ドル(約5兆1170億円)、12年ロンドン大会には約400億ドル(約4兆7600億円)も使われた。