100メートル決勝を棄権 桐生祥秀に囁かれる“肉体的不安”

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 決勝に主役の姿はなかった。

 15日の陸上・関東学生対校選手権2日目。100メートル準決勝を10秒37のタイムで通過した東洋大の桐生祥秀(19)が左太もも裏の張りを理由に決勝を棄権したのだ。

 期待された日本人初の9秒台は思わぬ形で持ち越しとなったが、気になるのは、痙攣したという左太もも裏の状態である。

 桐生は東洋大に入学した昨年、故障に泣かされた。4月の織田記念でも右太もも裏の違和感で決勝を棄権。9月の学生対校選手権では左太ももを肉離れし、仁川アジア大会の代表を辞退した。

 175センチ、68キロとスプリンターとしては決して体に恵まれてはいない。高校時代はウエートトレーニングも行わず、パワー増や故障防止に対する意識もそれほど高い方ではなかった。

 それでいて9秒台に手をかけるのだから大したものではあるが、「体や筋肉がスピードについていかないという怖さがつきまとう。9秒台は故障との戦いにもなるかもしれない」と関係者に指摘されていた。

 今大会の「最低限の目標」としていた、世界選手権(8月、北京)参加標準記録10秒16の突破を逃した桐生は、「(決勝を)走りたかった」とさすがに言葉少な。指導する土江コーチは「10本走って1本ケガするかもというくらい」と軽症を強調したが、9秒台の壁は遠くて高い。

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