奥原希望を金に押し上げたリオ雪辱と羽生世代への対抗心
そもそも柔軟な体にバランスの良さが戻ると、フットワークのキレが増した。これまで見送っていたような相手の力強い左右のスマッシュにも瞬時に反応できるようになった。今年6月のオーストラリア・オープンでは、昨年3月の全英オープン以来のスーパーシリーズ制覇で完全復活を果たした。
奥原は自身のプレーについて「ディフェンス力も良くなっています。相手に打たせても、しっかりと取れる(返せる)ようになった。(勝負どころでの)一発の精度も上がっています」と説明している。
■同学年の活躍も原動力に
身長156センチと海外勢に比べて小柄なことから、相手との駆け引きはもちろん、力強いスマッシュや軽快なフットワーク、スタミナとタフなメンタルが勝敗を左右する。故障が癒えて、肉体改造に取り組み、「進化」した体が金メダルにつながった。
今大会の奮起は、同学年のアスリートの存在も原動力になったという。
奥原の同学年には、男子フィギュアスケートの羽生結弦、男子競泳の瀬戸大也、萩野公介、プロ野球日本ハムの大谷翔平らそうそうたる顔ぶれが揃う。特に瀬戸と萩野には強烈な対抗意識を抱いており、7月の世界水泳で表彰台に上がる2人の姿を見て、「あらためて世界選手権で頂点に立ちたいと思いました」と語った。その願いを英国の地でかなえた。