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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

苦手の芝と若手の躍進…錦織圭を待つウィンブルドンの試練

公開日: 更新日:

 もうひとつ、芝の根が微妙なイレギュラーを演出するだけでなく、大会の進行とともにすり減って変化していく“面白さ”もある。

 それでもイラつかない精神的タフネスが求められるわけだ。

 錦織がこれまでに敗れた相手は、マリン・チリッチ(身長198センチ)、ミロシュ・ラオニッチ(196センチ)、フアン・マルティン・デルポトロ(198センチ)をはじめ、2011年のレイトン・ヒューイット(178センチ)を除けば190センチ台前後の長身選手ばかり。持ち前の精神力やラケット感覚だけでは対処できず、ビッグサーブで攻め立てられて分が悪いようだ。

 気になるのが、半年の戦線離脱を強いられた手首の故障だ。痛みは残るが、テーピングでプレーに支障がないと言う。ただ、全仏オープン後にウィンブルドンの抱負を聞かれ「ボールが(下から)入ってくるので注意しないと……」と不安をのぞかせていた。

 ウィンブルドンは〈不安との戦い〉になる。

 デニス・シャポバロフ、カレン・ハチャノフ、ステファノス・チチパス、フランセス・ティアフォー、テイラー・フリッツ――錦織の故障中に出てきた若者たちは、体はデカイし“天才ケイ”と対戦したくてウズウズしている。今の錦織がどう苦手の芝、若手の挑戦に立ち向かうか。これから先を占う大会になる。

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