雄星に大谷に佐々木 なぜ岩手が“怪物”3人を輩出できたのか
単なる偶然なのか、それとも必然なのか。
先日、岩手・大船渡高校の佐々木朗希(3年)がU18高校代表合宿で高校生史上最速の163キロをマーク。新たな怪物誕生にメディアは大騒ぎした。佐々木が誕生した岩手は大谷翔平(エンゼルス)と菊池雄星(マリナーズ)の出身地。わずか10年で3人の“怪物”を輩出したことになる。
「岩手の人沈深牛の如し 両角の間に天球をいだいて立つ かの古代エジプトの石牛に似たり 地を往きて走らず企てて草卒ならず ついにその成すべきを成す」
詩人の高村光太郎は著書「岩手の人」で、岩手県民をこう表現した。牛のように慌てず一歩一歩前に進み、事を成し遂げる気質をつづったのだ。
■県民性、食文化、部活動
県民性研究の第一人者で、㈱ナンバーワン戦略研究所所長の矢野新一氏は「普段は物静かながら、何かの瞬間に大きな力を発揮する傾向がみられる」と、こう続ける。
「岩手の県民性を実証する企画をテレビでやったことがある。リンゴをたくさん入れた紙袋を持ち、信号待ちしているときに、わざと転んでリンゴをこぼす。すると、のんびり信号待ちしていた人たちが一斉に走って来て、散らばったリンゴを拾い始めたのが印象的でした。岩手では外国人観光客のために作ったおもてなし対策の『10手』が盛り上がっている。何かの目標に向かって一生懸命になり、力を発揮する。長い冬は家にこもるという生活から時代が変化し、県全体に活気が出てきている点も見逃せない」