0-4惨敗にも動じず 久保建英がチリ戦後に垣間見せた自信
日本語とスペイン語を巧みに使い分け
8強進出にいきなり黄信号が灯った日本。そんな中、A代表初先発した久保建英(レアル・マドリード)の思い切った仕掛けは目を引いた。とりわけ後半20分にチリDF2人をドリブルでキリキリ舞いして、放った左足シュートがサイドネットに飛んだ決定機は会場をざわめかせた。
これには各国報道陣も驚き、取材ゾーンでは久保に殺到。日本記者向けの囲みにもチリ人やスペイン人が強引に割り込んできて、矢継ぎ早に質問を浴びせかけた。18歳のアタッカーは「1問ずつでお願いします」と過熱気味の大人たちをけん制しながら、1つ1つ回答していった。
「チリは強いチームだった。だから自分たちは4-0で負けた」
「試合に負けてしまっては何の価値もない」
「今、コパアメリカを戦っているのだから年齢は言い訳したくない。僕らはA代表としてここに来ている」
約5分間のやり取りは日西混在。敗戦直後だけに頭が混乱してもおかしくないが、彼は一切動じることなく2つの言語を巧みに使い分け、冷静に答えていく。かつて中田英寿はイタリア語と英語、本田圭佑(メルボルン)は英語、川島永嗣(ストラスブール)も英語とフランス語を操りながら外国メディアと対峙してきたが、久保の場合はまるでスペイン人ネイティブのような余裕。教育も現地で受けた逆輸入選手はメンタリティ自体が違うのかもしれない。敗戦の屈辱感に打ちひしがれるどころか、「自分はまだやれる」という自信すら垣間見せていた。
強気の姿勢は他の若手にもぜひ見習ってほしい点。1失点目など複数のミスに絡んだ中山雄太(ズウォレ)、3~4回の決定機を逃した上田綺世(法政大)などは特にそう。ここでへこんでいたところで何も始まらない。「チリは強いから負けるのも仕方ない」と考えるのではなく、気持ちで上回るところからスタートしないと、20日の次戦の相手・ウルグアイでも同じ轍を踏まないとも限らない。
南米での南米勢撃破という新たな歴史を築こうと思うなら、「モルンビーの惨劇」を糧にするしかない。久保を筆頭に選手全員がここからどう変化するのか。それが残り2試合のカギになる。