移籍後初勝利のヤクルト山田大“長身軟投派”ゆえの賞味期限
鷹の育成出身左腕が、神宮で羽ばたいた。
8日、ヤクルトの山田大樹(30)が、ソフトバンクから移籍後初勝利となる2年ぶりの白星を手にした。
初回、DeNA打線に4者連続安打を許し2点を失うも、二回裏に4点の援護。5回3分の1、3失点と粘投した。
お立ち台では「うれしいです」と破顔。「ムーチョ(捕手の中村の愛称)のリードを信じて投げ込めてよかったです」と、女房役への感謝も忘れなかった。
つくば秀英高から2006年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。当初は芽が出なかったが、2010年に支配下登録。この年は4勝を挙げるなど、パの育成出身投手の中で初勝利一番乗りを果たした。
11年は7勝7敗、12年は8勝10敗と先発ローテの一角を担うも、13年から成績が下降。17年オフ、ヤクルトに無償トレードされた。
古巣ホークスの関係者は「頑張ってほしいが……」と、こう続ける。
「山田の最大の武器は、見た目と投球のギャップです。189センチという長身で、いかにも速球派と言わんばかりの力強いフォーム。打者はどんな速球が来るのかと身構えているところに、140キロそこそこの直球やスライダー、シュートなどが投げ込まれる。つまり、見た目にそぐわぬ軟投派左腕なんです。打者は意表を突かれて、凡打を繰り返してしまう。それだけに、手の内がバレたら途端に苦しくなる。先発ローテで起用となると、それだけ慣れられるのも早い。ウチにいた頃も、相手に研究されてからは勝てなくなりました」
山田はこの日が今季5試合目。6月に一軍に合流し、リリーフとして3試合連続無失点に抑えている。それが先発した直近の2試合は、計9回3分の2イニングで5失点だ。
かつては「育成の星」と呼ばれたこともある山田。“賞味期限”は首脳陣のベンチワーク次第だ。