【追悼】元日本代表・田口光久さんが妻と語ったサッカー愛
大企業・三菱重工のサッカー部に所属し、金銭的にも恵まれているほうだった。しかし、聞いてみると〈退団した29歳で月給23万円〉〈試合に出ると残業代の名目で、勝つと4時間分、負けると2時間分の上乗せ〉〈代表に選ばれると合宿前にサッカー協会から支度金3万円〉〈合宿中は日当3000円〉。三菱は日当として別途3000円を支給してくれたので「他企業所属の選手に酒をよくたかられた」と苦笑しながら話してくれた。
ありきたりの言い回しではあるが、金でも名誉でもなく、ただ〈日本を代表するサッカー選手としてのプライド〉だけで日々のハードな練習をこなし、外国勢と死闘を繰り広げてきたのである。
連載コラムは10月31日発売号で通算104回を数え、12日の午前11時が105回分の取材予定だった。その8時間前に急死してしまうとは……。
サッカーの神様がいるのならば。「天国でも浴びるほど酒を飲み、いつものように明るく、朗らかに過ごしてください」と伝言をお願いしたい。
(日刊ゲンダイスポーツ編集部・絹見誠司)