遊牧民出身の霧馬山 強みはアントニオ猪木ばりの二重関節
23歳・陸奥部屋・前頭17枚目
どの親方も「あれは化けるぞ」と口を揃える。
モンゴルでも首都ウランバートルではなく、北はロシア、東は中国内モンゴル自治区に隣接するドルノド県出身。逸ノ城と同じく、遊牧民として生まれ育ち、幼少期から一家の資産である羊、そして馬に親しんだ。
もともと大相撲に興味があったわけではなく、知人の紹介でテストを受けたところ、合格。家族に楽をさせるために陸奥部屋の門を叩いた。2015年5月場所で前土俵を踏み、今場所が新入幕だ。
遊牧生活時代は30キロのおけを水場まで抱えるなど、自然と足腰が鍛えられた。モンゴル相撲の経験はないが、角界では「相撲を取るために生まれてきたような力士」と評価が高い。ある親方は「プロレスの話になるが」と、こう続ける。
「昔、アントニオ猪木さんが『オレは二重関節だから、関節技をかけられても決まらないんだ』と話していたでしょう。あれは関節の可動域が広いという意味らしい。霧馬山の関節も猪木さんばりに柔らかい。これまで何度か『あ、ヒザやっちゃった!』という倒れ方をしたが、そのたびにケロッと立ち上がった。投げ技のタイミング、まわしの引きつけ方もセンスがあり、陸奥親方(元大関霧島)は『教えなくても自然にできる』と、舌を巻いていました」