徳勝龍の相撲人生を変えた大横綱・北の湖親方からの助言
33歳・木瀬部屋・前頭17枚目
たった一言で人生が変わることもある。徳勝龍の身に起こったのもそれだ。
相撲を始めた小学4年から、突き押し一本。近大では学生横綱にこそなれなかったものの、押し相撲は「プロでも十分に通用する」と角界から太鼓判を押され、大学4年時に木瀬部屋に入門した。
前相撲から始めて順調に幕下に昇進。ところが、十両昇進を目の前にしながら何度も足踏みをした。そんな折の2010年、前年に木瀬親方(元前頭肥後ノ海)が暴力団に維持員席のチケットを渡していたことが発覚し、木瀬部屋は閉鎖の処分となった。
徳勝龍ら所属力士は、同じ出羽海一門の北の湖部屋に移籍。そこで北の湖親方から突然、「おまえは四つ相撲だな」と言われた。
押し相撲を身上としていた徳勝龍は、理解できずにキョトン。すると北の湖は「四つ、左四つだよ」と言葉を続け、本格的にスタイルを変更せざるを得なくなった。
一見、むちゃぶりかと思いきや、これが慧眼も慧眼だった。四つ相撲を覚えるやメキメキと成長し、11年11月場所で十両に昇進。12年4月に木瀬部屋の閉鎖処分が解除され、元の部屋に戻った後も四つ相撲を磨き続け、13年7月場所には新入幕を果たした。