新谷圧巻の女子1万m日本新 五輪メダルへ「猛暑」が追い風
レース直後の新谷はこう言った。
「たくさんの応援により、久しぶりに最後まで気持ちよく走れました。結果へのこだわりは強いものがある。長距離トラックは世界との差が大きく難しいと考えられているが、日本選手も今の時代、進化している。新しいスタート台に立てた」
ぶっちぎりの走りで国内の頂点に立った新谷だが、自身が語るように世界の壁は厚い。昨年の世界陸上(ドーハ)に同種目で出場。11位(31分12秒99)と惨敗した。金メダルはS・ハッサン(オランダ)の30分17秒62。銅はA・J・ティロップ(ケニア)の30分25秒20。この日の新谷ならメダルを狙えそうだが、昨年の世陸は猛暑でペースが遅かった。ちなみに16年リオ五輪の金はA・アヤナ(エチオピア)の29分17秒45(世界新)。4位の選手でも30分を切っていた。
五輪や世界陸上は、激しいペースの上げ下げや選手間の駆け引き、レース中にはひじ打ちや蹴飛ばされることも珍しくない。実際に経験している新谷はそんなことは百も承知だ。
幸い(?)真夏の東京は湿度が高く、アフリカ勢も嫌がる殺人的な酷暑だ。