著者のコラム一覧
友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

米で横行するトンデモ訴訟 メジャー復帰目論み裁判で売名

公開日: 更新日:

 被害者意識に凝り固まった元マイナーリーガーが、自分をメジャーリーガーにしなかったのはフェアではないとして球団を訴えた例もある。原告はヤ軍のマイナーに5年在籍したギャリソン・ラシターという元遊撃手で、訴えられたのはヤンキース。ラシターは「ヤンキースはジーターを大事にするあまりマイナーの優秀な遊撃手だった私のメジャー昇格を妨げた」と主張し、37億円の損害賠償を求めた。ラシターはマイナーの通算打率が2割4分4厘というダメ選手で、2A以上で一度もプレーした経験がない。それなのに勝ち目のない訴訟を起こしたのは売名目的としか思えない。こんなくだらない訴訟でも弁護士の腕がよければ裁判所は受け付けてくれる。この訴訟は裁判所で数回審理が行われた後、当然、棄却されている。

 一見トンデモ裁判に見えるが、実際は重要な意味合いを持つものもある。ここ数年、元マイナー選手がMLBを相手取って「自分たちはマイナーの選手時代、法定最低賃金以下の劣悪な労働条件で働かされた」として、不当に安く使われた分のサラリーの支払いを求める訴訟が数回起きている。これまで裁判所はプロ野球選手を一般労働者と同列に扱えないとして訴えを退けてきた。だが、ここにきて多くのメディアがマイナーの選手が置かれた弱い立場に関心を寄せるようになっており、遠からず元マイナー選手たちの訴えが認められる可能性が出てきた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」