通算363盗塁でタイトル4回 走塁技術と投手の癖の見つけ方
連載の最後は私がいかにして盗塁王を4度獲得し、通算363個の盗塁を決めたのか、その秘訣について記したい。
盗塁をするにはまず、出塁しないといけないが、私は左肩の脱臼癖があったので、ヘッドスライディングができず、大きなリードを取れなかった。小さいリードでも成功する確率を高めるためには、技術を磨き、相手投手を研究する必要がある。
走塁技術で言えば、1歩目の反応を鍛えるため、試合前の打撃練習中は打撃投手を相手投手に見立て、足や頭、顔が少しでも動いたらスタートを切るように心掛けた。普段の生活の中でも訓練を欠かさなかった。夜の薄暗い中で、例えば信号が切り替わった瞬間に足を一歩だけ動かすなどして、瞬発力を養った。
短い塁間距離の中で、少ない歩数でトップスピードに持っていくには足の動かし方に加え、上体の角度を下向きにして走る必要がある。前傾しながら走ると足に負担がかかるため、下半身を徹底して鍛えた。
スライディングもいかに速く強く滑ることができるか、その位置とタイミングを試行錯誤した。