仰木監督の言葉の深さ パ優勝が消えたとき「勝てないまでも負けなかった」意味
優勝がなくなったのだから、サヨナラ負けでも結果は同じなのに、仰木さんは「この1年も含めて、チーム全員でここまで頑張った。だから最後の最後、負けないで終わることも大切だ」と言っていた。
ひとつも落とせない試合を、勝てないまでも負けなかった。そこに価値がある。そう言いたかったのだろうし、だからこそ「10.19」と呼ばれる伝説の試合として、いまも語り継がれていると思う。仰木さんの言葉は深いと改めて感じる。
試合後、帰りのバスに向かうナインの足取りは重かった。中には泣いている選手もいた。都内の宿舎に向かうバスの中はほぼ無言だった。
■ビールかけとはいかなかったけれど
宿舎に着くと、ユニホームのままビールかけの準備が整った2階の宴会場に集合した。
「今年1年間の選手諸君の気力、粘り……野球ファンが本当に注目してくれた最後のゲームまで感動を覚える試合ができて、選手諸君の頑張りに改めて感謝します。本当にありがとうございました」