91年ドラフトで近鉄は即戦力右腕を1位で獲得 高柳を「立場危ういんじゃ?」と冷かしたら…
左肘を痛めて2勝2敗1セーブに終わった1991年オフのこと。
私は秋季練習が終わると、すぐに石川県の温泉に出掛けた。近鉄の投手陣は毎年、そこでオーバーホールをしていたからだ。
11月22日。当時は夕方からドラフト会議があった。風呂から上がり、高柳出己と2人でドラフト中継を見ていると、近鉄は法政大の高村祐を1位指名した。大学生投手だから当然、即戦力としての評価だろう。
「おい、おい、ウチは右ピッチャー取ったぞ。おまえの立場、危ういんじゃないか?(笑)」
私はこう言って、冗談半分で高柳を冷やかした。
近鉄はこの年、野茂英雄、小野和義、山崎慎太郎、佐々木修さん、高柳がローテを守り、首位西武と4.5ゲーム差の2位だった。
プロ4年目の高柳はこの年、19試合に先発して自己最多の7勝(5敗)をマークした。先発の5人中4人が右腕だが、即戦力右腕を1位指名したのは、球団がそれでも計算の立つ右投手が足りないと判断したからだろう。