著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

IOCバッハ会長は8年前、高橋治之元理事の“追放”を組織委に求めていた

公開日: 更新日:

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之元理事が昨6日、五輪スポンサーで出版大手のKADOKAWAから賄賂を受け取った疑いで再逮捕された。

 そのKADOKAWAが東京五輪2020開会直前の2021年7月20日に刊行した「新TOKYOオリンピック・パラリンピック物語」(野地秩嘉著)のプロローグに東京五輪を1年延期した高橋の功績を称える部分がある。歴史的にも憲章上も「延期」のないオリンピックを延期させるために高橋が動き、米ウォールストリート・ジャーナルに「延期がいい」とリークし、国際オリンピック委員会(IOC)の先手を打ったと記述。中止でもいいと考えていたIOCにとって、高橋は「厄介な人間」とある。

 確かに20年3月中旬の時点でもIOCは開催を主張し、コロナ禍でもみなで協力して乗り越えよう! と呼びかけていた。それでも、どうしようもないと判断したら、その時は「中止」を選択する。それがIOCの「常識」であり「良識」だった。それ故、同書によれば、高橋のおかげで東京五輪は21年に開催することができたが、「厄介な存在」となった高橋をバッハIOC会長は「辞めさせることはできないか?」と森組織委会長(当時)に打診したともある。その話を森から聞いた高橋は一笑に付したと書かれているが、実はそのずっと以前からIOCは高橋に赤信号をともしていた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • その他のアクセスランキング

  1. 1

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  2. 2

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  3. 3

    卓球・張本智和がトヨタ自動車「入社内定」の裏側…両親の教育観とスポーツ界の不安定要素

  4. 4

    「羽生結弦は僕のアイドル」…フィギュア鍵山優真の難敵・カザフの新星の意外な素顔

  5. 5

    日本のアスリートと「向学心」に雲泥の差…《エリート選手に勉強不要》は世界の常識からズレている

  1. 6

    伊藤美誠がパリ五輪シングルス代表絶望で号泣…中国も恐れた「大魔王」はなぜ転落したのか

  2. 7

    IOC会長選に落選した渡辺守成氏が明かす「驚愕の敗因」…女性の一致団結に《屈服させられました》

  3. 8

    貴ノ浪が43歳で急逝 横綱・大関は「寿命が短い」本当の理由

  4. 9

    “ミスター・ラグビー”と呼ばれた松尾雄治さん 西麻布で会員制バーを切り盛り「格安なので大繁盛だよ」

  5. 10

    羽生結弦「30歳の挑戦」…プロ転向から2年半「毎回五輪での記録を更新する気持ちでやっています」【独占インタビュー】

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」