「あんな相撲のどこがいい相撲だ」豊昇龍にも通じる元横綱・朝潮の戒め
「気力」を感じるのは豊昇龍
豊昇龍、琴ノ若、霧馬山あたりに一番ごとの勝負に対する執着が見え、中でも八角理事長(元横綱北勝海)が「気力」を感じるのは豊昇龍だという。ぎこちないが投げや足技も出て、勝ちたい気持ちが強く見える。
だが、八角理事長は「(昨年九州場所で)河津掛けとかやっていたが、千代の富士さんは体がなくてもまわしを取って前に持っていく相撲だから横綱になった。そういうところを見本にしてほしい」と注文する。
もちろん粘り強さは不可欠で、苦戦でも白星をもぎ取る相撲がないと3場所33勝以上は難しいが、それはあくまで「上積み」。まずは勝つべくして勝つ相撲を増やして土台や型をつくらないと、上がっても務まらない。
条件を多少甘くしても新大関が欲しい半面、すぐ転落するようでは意味がない。昇進の時機と力量の両立が理想ではあるが、果たして──。
▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。