「ワイはアサシオや」にも描かれた元大関・朝潮は相撲界に欠かせない力士だった
一緒に相撲見物に出かけたが、彼女の声は大乃国が登場すると何オクターブか高くなった。もと魁傑の放駒親方の弟子の大乃国に杉浦は三段目のころから注目していた。
自分は小柄ながら、「大きくて重たいものでが好き」という杉浦は、大乃国のようなタイプが、自分が生きている年代で出てくるとは思わなかった。「頭の中で漠然と考えていた人間が実在していた」という感じなのである。
「今日負けちゃったから親方に怒られちゃうな」と、大きい身体をすくめる大乃国のゆったりのったりに、杉浦はたまらない親近感を寄せていた。
「あの福相にタラコ唇!」
夢見るような感じでこんなことを言っていたが、これはそのまま朝潮に置き換えることもできるだろう。
杉浦はかつて学校をサボってまで国技館に通い、名古屋にも日帰りで相撲を見に行ったとか。
思わずドキッとしたのは次の発言である。
「わたし、フンドシが好きなんです」