“幕張の防波堤”に聞いた「つなぎの4番」はあり?なし? 広島と楽天で今シーズン威力発揮
プロ野球において「4番打者」は格別な響きを持つ。かつては王、落合、清原が、現在は岡本(巨人)や村上(ヤクルト)らがそうであるように、豪快なホームランで勝負を決めるーーそんな役割が求められる打順だ。
しかし、一方で「つなぎの4番」も存在する。2005年のロッテ・サブロー(現二軍監督)を想起するファンも多いだろう。チーム31年ぶりのリーグ優勝に貢献したが、その成績は打率.313、14本塁打、50打点。一発よりもヒットで後続に打順を回し、チャンスの火に薪をくべ続けた。一般的な4番打者像とは異なるので、「つなぎの」と枕がつく。
そんな「つなぎの4番」で首位を快走しているのが広島だ。今季は主に小園海斗(24)が任され、28日時点で打率.292、1本塁打、27打点。派手さはないが堅実な打撃で、チームの中核を担っている。
楽天も交流戦中、4番に巧打者タイプの鈴木大地(34)を抜擢した。鈴木は交流戦では打率.283、1本塁打、7打点、出塁率.343。切れ目のない打線の形成に一役買い、球団の交流戦初Vに大きく貢献した。
2005年に日本一を達成したロッテで守護神を務めていた、「幕張の防波堤」こと小林雅英氏(現エイジェックス投手総合コーチ)は「当時のロッテはベニーやイ・スンヨプなどの長距離砲もいた」と、こう続ける。
「それでも1番から9番の打順の中で、『いかに効率よく点を取るか』と考えた上で、バレンタイン監督(当時)が4番にサブローを抜擢した。もちろん、サブローだって監督に『つなぎの4番をやってくれ』と言われたわけではありません。楽天の今江監督は05年ロッテの主力打者。当時を知っているからこそ、大地の4番抜擢に踏み切れたのかもしれない」