元中日ドラゴンズ・平田良介さんが明かす 2011年交流戦2試合連続サヨナラ本塁打の舞台裏

公開日: 更新日:

効果満点!井端さんの短いアドバイス

 延長十一回の裏、投手が同学年の野上(亮磨)投手です。捕手が炭谷(銀仁朗)で、こちらも同学年。何か縁があったのでしょうか。

 ネクストバッターズサークルに行く直前に先輩の井端(弘和)さんに呼ばれ、「球種張って(狙い球決めて)打ったことあるか」と聞かれ、「ないです」と答えたら「スライダーが来ると思うから、ランナーなしで回ってきたら、スライダーだけ待ってホームラン狙ったらどうや?」と。

「やってみます」と僕。
それでスライダーだけ待っていたら、本当にスライダーが来たので打てたんです。井端さんとのゴニョゴニョした短い会話でしたが、すごくありがたい助言をいただきました(笑)。

 よくベンチで選手同士で短く言葉を交わしている様子が映ると思いますが、こういう先輩からの助言は試合の上でとても重要です。

■翌日は欲も出て最初から狙っていた

 翌日の試合は千葉ロッテ戦。当時の交流戦は1カード2試合ずつなのですぐ対戦チームが変わりました。九回裏で相手は薮田(安彦)投手。アウトコース高めのストレートを逆方向のライトスタンドへ。

 実はその打席もホームランを狙ってました。その試合も同点で、しかもツーアウトでランナーなしでしたから。それに前の試合でサヨナラホームランを打ったから欲も出てきて(笑)。

 1回目のサヨナラはホームインした後に、名だたる先輩たちから“手あつい”祝福を受けたのを覚えてます。水もかけられたかと。

 次は休養日がない翌日の試合。2日続けてのサヨナラホームランだったので今度は手荒い祝福はなく、先輩たちは「マジか?」「スゲエな」とビックリした感じで。僕自身が一番ビックリしましたが。

 中日では今も僕だけしかやってない記録らしいです。実はプロ初本塁打がサヨナラホームラン。ファンのみなさんが持つ平田良介のイメージがホームランなのはそのおかげもあるのかなと思います。

 何よりうれしいのはこの年のリーグ優勝に貢献できたことですね! 僕が多くの試合に出始めた時期で、規定打席には達してなかったけど、サヨナラホームランを打った6月には初めて月間MVPもいただけて、チームの勝利に貢献できた。今、振り返ると自分のプロ野球人生の分岐点だったなと思えます。

 今は解説の仕事もさせてもらい、グラウンドにいた時とは違う発見があって勉強になります。「選手の時にもっと冷静に打席に立てていたらもっといい成績が出せてたのかな」と思うことも(笑)。

 実際にプレーしていると、どうしても意固地になりますからね。同年代や僕より年上でまだ現役やられてる方はとてつもなくすごい! つくづくそう思います。

 今年のセ・リーグはAクラスとBクラスが離れてきましたけど、戦力の差がメチャクチャにあるわけではないのかなと。中日にもいい選手は多いんです。バッター陣は揃ってきたので、あとは投打の噛み合い。近年は9月に入っても暑いので体力負けしないチームが最後に勝つかなと思います。

(聞き手=松野大介)

▽平田良介(ひらた・りょうすけ)1988年3月、大阪府出身。2005年、大阪桐蔭高からドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。17年のWBCメンバー。22年に引退後、野球解説者、タレントとして活躍。バッティング専門の野球スクール「かっ飛BASE!BALL Academy」で指導している。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 2

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  1. 6

    巨人「松井秀喜の後継者+左キラー」↔ソフトB「二軍の帝王」…電撃トレードで得したのはどっち?

  2. 7

    巨人のW懸案「ポスト岡本和真&坂本勇人」を一気に解決する2つの原石 ともにパワーは超メジャー級

  3. 8

    ドジャース大谷翔平 驚異の「死球ゼロ」に3つの理由…12本塁打以上でただひとり

  4. 9

    佐々木朗希「限界説」早くも浮上…案の定離脱、解説者まで《中5日では投げさせられない》と辛辣

  5. 10

    オリオールズ菅野智之 トレードでドジャースorカブス入りに現実味…日本人投手欠く両球団が争奪戦へ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ