元阪神・オリ投手だった野田浩司さんは今…現役時代は不動産投資で大赤字、引退後は飲食店経営も
野田浩司さん(元阪神・オリックス投手/55歳)
今年の日本シリーズは阪神対オリックスによる関西ダービーが大いに注目を集めた。その両軍で活躍したのが野田浩司さんだ。186センチの長身から投げる150キロ近いストレートと、ヤクルト監督時代の故野村克也さんから「お化けフォーク」と命名された鋭く落ちるフォークボールを駆使して、オリックスに在籍していた1995年には対ロッテ戦で1試合19奪三振の日本記録を達成。昨シーズン、ロッテの佐々木朗希投手に並ばれたが、現在もレコードホルダーだ。さて、今どうしているのか?
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「いやー。こんな日が来るとは夢にも思っていなかったですよ。開幕時、阪神は2度目の監督就任とはいえ岡田彰布監督は10年間解説者で現場から離れていましたし、オリックスは投手力はパ・リーグの中で抜きんでていたものの昨年まで主軸だった吉田正尚(現レッドソックス)が抜けた穴を、どう埋めるかが課題でした。ところが、両チームとも補強はドンピシャ、采配も岡田・中嶋聡監督ともに大きなミスがないどころか、戦況に合わせて的確に決まりました。ライバルチームがいまひとつ連勝できずにピリリとしない中、7月後半以降、両チームの独壇場になったのも必然だったように思います」
野田さんと会ったのは、神戸市内。現在、デイリースポーツ紙デジタル版とウェブメディア・フルカウント、スポーツ専門チャンネル・Jスポーツ、そして今シーズンからスタートしたBS松竹東急ベースボールシアターの解説者を務めている。それだけに、ペナントレースをつぶさに追いかけてきた。
「岡田監督は、ポジションと打順を固定しつつ、選手の特性を生かした起用がハマったと思います。中嶋監督は去年、一昨年の2連覇によって培った選手との信頼関係が強まり、好調な選手を日替わりで起用した巧みなベンチワークが功を奏したと言えるでしょう」
野田さんは、両監督とも縁が深い。
「岡田監督は僕の10歳上で阪神時代の大先輩ですが、ピンチになるたびによくマウンドへ来て励ましてくれました。実際、1990年5月の対大洋(現DeNA)戦では九回表に逆転打を打って僕が裏を抑え、勝利投手になってもいます。92年のオフにオリックスへトレード通告された際は、プロ野球選手会会長という立場以上に親身になって相談に乗ってくれたことも忘れられません」
そのオリックスでも岡田監督が94年に移籍してきたため、打撃コーチだった2シーズンを含めて4シーズン、同じユニホームを着ている。
一方、元キャッチャーだった中嶋監督とは8シーズン在籍したオリックスで何度もバッテリーを組んでおり、大きく飛躍するきっかけとなった恩人でもある。
「移籍した93年の開幕前だったか、『アウトコース、ギリギリにストレートを投げ切り、外に見せて踏み込ませた方が野田さんのフォークは効きますよ』とアドバイスをもらいました。これが思っていた以上に威力を発揮して、その年は17勝で最多勝のタイトルを獲得できたんです。95年4月の対ロッテ戦.1試合19奪三振の日本記録の時の女房役も中嶋監督でした」
注目の日本シリーズの行方については「両チームとも投手力が高いので、一方的な試合になるのは考えづらい。ペナントレースでのチーム防御率は阪神が2.66、オリックスが2.73と、ともにリーグ1位ですからね。打率に目を向けるとオリックスは2割5分0厘でリーグ1位、阪神は3位ながら2割4分7厘。ほとんど差がないんです。なので、よほどのことがない限り一進一退の攻防が続き、第7戦までもつれ込むんじゃないか、僕はそう思っています」という予想通りの展開になった。