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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大型契約が球団経営に与える負の影響…米プロスポーツ球団の市場価値は上昇の一途、球団売却で精算の選択肢も

公開日: 更新日:

 1年前に大谷翔平ドジャースと締結した10年総額7億ドルというプロスポーツ史上最高の契約は、1年後にフアン・ソトがメッツと結んだ15年総額7億6500万ドルによって更新された。

 大谷とドジャースが契約の水準を引き上げたことは間違いないし、市場規模が過去最大となり、各球団の収益も拡大している大リーグだからこそ新記録の樹立を可能にした。

 それとともに過去の大リーグの事例を念頭に置くと、巨額の契約にはさまざまなリスクがつきまとうことが分かる。

 大型契約の弊害の典型例が、アレックス・ロドリゲスとレンジャーズの関係である。2001年に10年総額2億5200万ドルと当時の最高額でロドリゲスを迎えた。

 ロドリゲスはレンジャーズに移籍してから3年連続で本塁打王になるなど契約に見合う成績を残したが、この間、チームは地区最下位。これはロドリゲスとの契約が足かせとなって他に必要な選手を獲得できず、均整の取れたチームづくりに失敗した結果とされた。

 最終的にレンジャーズは契約した年俸総額の一部を負担することでロドリゲスをヤンキースに移籍させたものの、10年に経営が破綻し、所有権は球団代表のノーラン・ライアンらが共同で経営する投資家集団に売却されている。

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