「先頭打者本塁打」を量産した僕の頭の中身…1番打者が最も打てる確率が高いのは第1打席の初球
現代のプロ野球界は昔よりデータに縛られてプレーするようになった。最近、イチローさんがメジャーの野球について「データでがんじがらめにされて、感性が消えていくのが現代の野球」と警鐘を鳴らした。僕も同感である。もちろんデータを使うのは大事だが、動いて感じることの方が大切だと思っている。
前回述べた「常識」では、ほとんどの指導者が「狙い球を絞って打席に入れ」と言う。だが、これが全て当たるとは限らない。打者は来た球に対応するしかない。具体的には、直球狙いで変化球に対応するしかないのだ。
そう書くと、僕が何も考えずに野球をやっていたように聞こえるだろうが、「この投手はこのカウントでストライクを取ってくる」とか「この状況では誘い球のボールを投げてくる」といった投手別の傾向は大切にしていた。
僕は2003年に星野仙一監督に1番で起用され、先頭打者本塁打を7本打った。そのうち5本が初球。2試合連続初球先頭打者弾というのは、プロ野球記録だった。
1球目からストライクが欲しくない投手なんていない。試合の最初の投球で意図的にボール球は投げてこないという投手心理を感じていた。だから、徹底して初球を狙うことにしていた。不思議なことに、初球を打ってくると分かっていても、ボールから入ってくる先発投手はほとんどいなかった。