著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

錦織圭ツアー通算450勝にこれだけの価値…史上最強の「3強時代」にこの記録を刻み込んだ

公開日: 更新日:

 特徴の一つにフルセットでの強さがある。通算155勝60敗(勝率72%)、グランドスラムなどの5セットマッチでは29勝8敗(同78%)。コーチのマイケル・チャンは消耗を回避しようと「無駄のない展開」を求めたが、それが錦織の戦い方だった。相手のパワーを技でかわし逆襲……肉を切らせて骨を断つ戦術で生き延びた。自分を語らない男が、少年ファンの問いに「負けず嫌いでしたね」と答えていた。鋼のメンタルで時代を乗り切った。

 今季は、初戦の香港250で準優勝してランキングを64位まで上げ、その後は1回戦突破がせいぜい。これからは苦手なクレーコート、芝の特殊舞台が続く。表情は明るい。

「ケガへの向き合い方は十分に学んできた。考えすぎず、我慢強く、前向きに。いまはプレーするのが楽しいですね」

 嘘を言わない男で、450勝の中で覚えているのは10試合くらいだとか。フェデラー、ナダルが去り、マスコミも遠ざかったが、むしろ解放感を楽しんでいるようだ。大ざっぱさで似ている長嶋茂雄さんがこう言ったのを思い出す。

「人間、何が嫌かって煩わしさです。我が巨人軍はマスコミの球団ですからねえ」

 錦織のテニスは誰が見ても面白い。あと50勝は厳しいだろうが、夏のアメリカシリーズ、それに続く有明でのデ杯ファイナル予選が楽しみだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    永野芽郁の「文春」不倫報道に噛みついたGACKTさんは、週刊誌の何たるかがわかっていない

  3. 3

    元NHK岩田明子は何をやってもウケない…コメントは緩く、ギャグはスベる、クイズは誤答

  4. 4

    Mrs.GREEN APPLEとディズニーのコラボに両ファン懸念…売れすぎた国民的バンドゆえの"食傷感"

  5. 5

    のんを襲った"後輩女優の二股不倫報道"の悲劇…カルピスCMめぐる永野芽郁との因縁

  1. 6

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  2. 7

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  5. 10

    永野芽郁&田中圭の不倫スキャンダルをスルーするテレビ局の身勝手…ジャニーズの時の反省は?