話題作「相互確証破壊」の著者・石持浅海氏に聞く

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 淫靡さに拍車をかけるのは、語り手がすべて女性という点だ。女性の視点で描かれる快楽から絶頂への過程が生々しい。

「僕は男だから実際に女性の絶頂感がどういうものかわかりませんから、多少の期待は入っています(笑い)。男性読者を意識して書いたので“官能小説にお約束の絶頂感”もある程度は書いているんですけどね」

 唇や舌が発する卑猥な音、湿り気と熱を帯びた股間など、女性の性的衝動や生態描写はかなり扇情的だ。女性読者が納得のいく官能シーンも多い。

「官能という毛布をかけてはいますが、“女性の自分探しの物語”という見方もできるかもしれません。読んだ方からは『会社員は不倫しかしていないのか?』なんて言われましたけれど(笑い)」

 そもそも、なぜ官能とミステリーをコラボすることになったのか。

「単純に依頼なんです。もともと作中に官能シーンを厚めに描くことがあり、それに反応した編集者が依頼してきたというわけ。ただ、官能×推理だけでなく、それぞれにもうひとつお題があって。“鉄道”とか“歌謡曲”とかね。三題ばなしみたいな依頼だったんです(笑い)」

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