「死ぬならボケずにガンがいい」新見正則氏

公開日: 更新日:

 医者が書いた本は基本的に読後、自責の念に駆られるものが多い。~すべきだ、~してはいけないと不摂生な人間にとっては耳の痛い文言ばかり。ところが、この本はとにかく底抜けに明るくて、説教くささがまったくない。

「考えることが苦手な人には『~しろ!』という命令形の本がいいのでしょうね、楽だもの(笑い)。でも、万人にとって有効なことなんてありません。メディアが流す健康情報も、それが『効く人もいる』というだけの話。何が正しいか誰にもわからないんですよ。肉食で野菜嫌いの94歳もいれば、肥満でメタボな87歳の女性もいます。健康を害する習慣があっても、検査値が異常でも、薬を飲まずボケもせず元気で長生きの人がいますから」

 わからないと断言する医者も珍しい。本書では普通は医者が言えないことにもザクザク斬り込む。

「イグノーベル賞という過分な賞をいただいたってことは、つまり医療の世界で変なことしてもいいって意味でしょ(笑い)。この本では僕が言いたいことをフェアに書きました。世の中は市場原理や道徳心で動いていて、少数意見は言いづらくなっているけどね。でも人間は必ず死にます。医者は言わないことを言うのが仕事だから、外来でも『いつか死ぬから、遺言書けば?』と言いますよ。みな笑って受け流しますが、本当はこうして笑いながら『死』を上手に話し合えるような社会にしないといけないよね」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる