「世界でいちばん美しい洞窟、魅惑の石窟」MdN編集部編
世界各地の洞窟を紹介するビジュアル・ガイドブック。
一口に洞窟といっても、フランスの「サン・マルセル洞窟」のように内部に棚田の畔のような石(リムストーン)が多く発達し、田園さながらの景観をつくり出しているものから、「ボックスワーク」と呼ばれる薄板状の方解石脈がつくり出す蜂の巣のような立体構造が魅力的なアメリカの「ウインドケーブ国立公園」の洞穴、マレーシアの標高2300メートルを超えるムル山の地下に広がる洞窟群の中にある、世界最大の空洞のひとつ「ディア・ケイブ」(写真)など、その形態はさまざまだ。
他にも、山水画のような風景が洞窟内に出現した中国の桂林最大の鍾乳洞「蘆笛岩」や、バミューダ諸島の「クリスタルケイブ」、ドイツの「妖精の洞窟」の中に広がる幻想的な地底湖、そして透明石膏の巨大な結晶が林立するメキシコの「ナイカ鉱山」など。生き物の存在を感じさせないその景観は、太古の地球の姿を連想させる。
地下だけではなく、アイスランドの「ヴァトナヨークトル氷河」や、カナダの「エルズミア島圏」など氷に閉ざされた世界に奇跡のように出来上がった氷穴をはじめ、ヨルダンの王族の墳墓である「ペトラ遺跡」やトルコの「リュキア墓所」のように、先人たちが岩山や岩礁を掘って利用した石窟なども紹介。