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「100万分の1回のねこ」谷川俊太郎、山田詠美、江國香織他著

 1977年に発表された佐野洋子著の絵本「100万回生きたねこ」。誰にも心を開かずに輪廻転生を繰り返してきた一匹の猫が、恋をして家族を持つことで、初めて悲しみを知るという物語だ。

 200万部以上を売り上げ、世代を超えて愛されてきたこの大ベストセラーは、作家にもファンが多い。本書では、13人の作家が「100万回生きたねこ」をテーマに独自の世界観で短編を寄せている。

 直木賞作家の江國香織が書くのは、「生きる気まんまんだった女の子の話」。幼い頃に両親を亡くし、何が何でも長生きしたかった女の子は、「100万回生きたねこ」を読み、人を好きにならないことを心に決める。

 大人になった彼女は結婚するが、相手に選んだのは“絶対に好きにならないと思う男”。やがて夫婦は年を取り、好きだと思ったこともない夫に先立たれたとき、彼女は……。

 短編集の最後は、佐野洋子の元夫で詩人の谷川俊太郎が、優しく温かな物語で締めくくっている。(講談社 1500円+税)

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