「江戸へおかえりなさいませ」杉浦日向子著

公開日: 更新日:

 05年に46歳で早世した江戸風俗研究家の遺稿を編んだエッセー集。

 ある午後、好物のそばをたぐりながら「浮世絵はそばなんだ」と悟ったと、そばに通じる浮世絵の楽しみ方をつづる。

 またある一文では、現代人は「熊さん八つぁん」が暮らす江戸の「九尺二間の裏長屋」に清貧のイメージを抱いているが、「彼らは長屋にしか住めないんではなく、自らの選択で住んだのであって、その行動は随分トンガリ、ツッパっていたのである」と解説。長屋は住環境は劣悪だが、最新の情報と刺激は浴び放題のアーバンライフなのだと。

 長屋の処世術に学ぶプライバシーの確保法など、江戸の粋を伝える切れのいい文章が心地よい。(河出書房新社 1600円+税)


【連載】BOOKレビュー

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる