「『ぼんやり』が脳を整理する」菅原洋平著
脳のリハビリテーションを専門にしている作業療法士である著者は、人間の脳がひらめき、大きく前進するときに見られる共通点は、①「気づきをつくる」、②「ぼんやりする」、③「自分を外から見る」の3点だという。これを順番に実行するだけで、仕事で多忙なサラリーマンでも、効率的にひらめきを生み出せるという。
脳には、情報を入力する「実行系ネットワーク」、脳内の情報をまとめる「デフォルトモードネットワーク」、2つを切り替える「セイリアンスネットワーク」の3つの神経ネットワークがある。セイリアンスネットワークを基盤として、①気づきをつくる段階を実行系ネットワークが、②ぼんやりする段階をデフォルトモードネットワークが担っている。この2つのモードが両立して作業をしている自分を、③もう一人の自分が外から見て指示を出す状態を「メタ認知」と呼び、これがひらめきを生み出す。
これらのネットワークの協調を邪魔してしまうNG行動は、「ネットで詳しく記事を読む」「入門から勉強する」「落ちついてから考えようと宿題にする」「場所を替えてカフェで作業する」「アイデアについて議論する」だという。
本書で解説している脳がひらめきを生み出す仕組みを理解すれば、取るべき行動、やってはいけない行動が分かる。(大和書房 1400円+税)