「国より先に、やりました」保坂展人著
「国より先に、やりました」保坂展人著
著者が野党国会議員から世田谷区長になったとき、それまでの支援者はガッカリしたという。区政を大胆に変えてくれると思ったのに、著者は区の職員を前にこう言ったからだ。
「仕事の95%はこれまで通りにやってほしい。ただ残りの5%は変えていってほしい」
実はこの「5%改革」が保坂流だった。毎年5%ずつ変えることで10年で半分近くが変わる計算だ。区の予算を年度ごとに子育て、教育、福祉に振り分けていく。インフラ整備には事業者と住民とでとことん話し合う。災害対策、同性パートナーシップもしかり。
国より先に自治体でやってしまう。そんな地域主権が世田谷区以外にも広まりつつある。国政で解決できていない問題に、取り組んだ12年半をまとめた報告書。 (東京新聞出版 1540円)