なんと、50代の2人に1人は1年以上セックスにご無沙汰
「1位はギリシャで年間164回、最下位は日本で年間48回」。これが何のデータかお分かりだろうか。答えは、イギリスのコンドームメーカー、デュレックス社が世界26カ国を対象に調査して明らかになった、セックスの平均回数だ。
荒木乳根子、石田雅巳ほか著「セックスレス時代の中高年『性』白書」(harunosora 2000円+税)では、現代の中高年のリアルなセックス事情について各種データと共に紹介。医師や臨床心理士などで構成された「セクシュアリティ研究会」のメンバーらが、日本におけるセックスレス問題やその解消方法なども分析していく。
冒頭のデータを見て、「年48回なんて多い方だろう……」と思った中高年も多いはず。確かに日本では、50代から一気にセックスレスが進む傾向にある。40代でも、1年間セックスをしていない人が約3割いるが、これが50代になると5割を超えてくる。さらに、著者らが中高年を対象に行ってきた調査では、夫婦間におけるセックスレスの傾向は近年でより顕著になっていることが分かる。
配偶者とのセックスを望む人の中で、月1回以上セックスしていると答えた人は、2000年では男性78%、女性79%だった。ところが2012年では男性44%、女性68%と減少している。注目すべきは男性のデータで、2012年では妻とセックスしたいと望む男性の半数以上が満たされていないことになる。一方で、自慰行為は近年で活発化する傾向にある。2012年では70代でも月イチでマスターベーションする人が、男性で10%、女性でも6%にのぼる。セックスレスは、単に性欲の低下で起きているわけではなさそうだ。
人生80年の日本では、50歳でセックスからリタイアしたら、あと30年もその喜びを忘れて生きなければならない。本書では、閉経後の女性の性交痛や、男性のEDに関わる調査データも紹介している。膣潤滑剤やED改善薬の使用傾向も分かり、悩んでいるのは自分だけではないと勇気づけられる。
良好な夫婦関係を維持するためにも、セックスといま一度向き合ってみては。