鉄面皮の内側 プーチンのしたたかな政治手腕を精査

公開日: 更新日:

「プーチンの国家戦略」小泉悠著

 先の東独の崩壊を目撃したプーチン。帰国後は祖国も崩壊。その直前、祖国に見切りをつけた彼はKGBを辞職。しかし9年後にはエリツィンを踏み台に大統領に就任した。以後、「強いロシア」を目指して皇帝のように強権を振るってきた。

 ロシアの軍事・安全保障問題に詳しい著者によればロシアのいう「パートナー」とは互いを利用し合うしたたかな計算ずくの関係。日本を手玉にとることなど造作もないのだ。またクリミア侵攻を例に、西側諸国に後れを取るロシアが元ソ連地域へ軍事介入できるよう直接の武力行使と情報戦やプロパガンダを意図的に混交させた「ハイブリッド戦争」をいかに展開しているかを詳しく検討する。

 プーチンはまたロシア正教会との関係も深く、空挺部隊にはパラシュート降下のできる従軍司祭までいるという。(東京堂出版 2200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」