「源氏姉妹」酒井順子氏
著者の言う通り、男にとっても学びの多い本作。たとえば、源氏はやりたい盛りの17歳の頃、父の兄弟の妻で7歳年上の未亡人、六条御息所にちょっかいをかけた。最初は冷たくあしらっていた彼女だが、やがて源氏に陥落。
〈あの方の言葉で、指で、そして舌で、身体のすべてを褒められ続けることが、私にとっては快感となったのです〉と、女性の喜びを爆発させている。
しかしこの六条御息所、源氏に対する執着は相当なもので、自分以外の相手に生き霊を飛ばしてとりつくという荒業をやってのけている。さらに、36歳で死してなお、その嫉妬心は衰えなかった。
「あるとき源氏は、最愛の人ともいえる紫上に、昔の女たちの悪口を言います。“さまざまな女と付き合ってきたが、おまえが一番だ”と言いたいがための、男性にとっては“ピロートークあるある”なのかもしれません。しかし、言われた昔の女はたまったものではない。六条御息所は“もののけ”となって蘇り、紫上にとりつきます。世の男性の皆さんも、昔の女の話などしないに越したことはありませんよ」