都議選大勝利でいよいよ「小池ファースト」時代が到来か?
「検証・小池都政」横田一著
今年1月、「週刊朝日」に掲載された「豊洲移転問題」記事。小池知事のブレーンが「移転派」と「築地残留派」で分裂しているとする内容だった。その取材に当たったのが本書の著者。ところがこの記事が出たとたん、記事にも登場した「都民ファーストの会」幹事長(当時)の音喜多駿都議がツイッターで同記事を「捏造」と非難。自分が仕える知事の方針に逆らって「豊洲移転」を唱える橋下徹のツイッターに賛意を唱えたことなどなかったような態度に一変したのだ。その揚げ句、6月に音喜多都議は幹事長を辞任。“小池新党”は、実は出だしからなんとも不明朗な印象を残したのだ。
本書は都議選の前から築地市場問題、復興五輪、共謀罪関連、カジノ法案関連などさまざまな角度から小池都政を追ってきたフリージャーナリストの力作集。
興味深いのは小池氏が元防衛相だったことに関連し、日本の原発テロ対策が「深刻な欠陥を抱えている」と指摘。仮に十数人のテロリスト集団が原発を襲撃したとしても、警備当局は防衛出動ではなく、治安行動しか想定していない。だが、自衛隊は70年安保時代に政治的配慮から治安行動の教範すら廃し、訓練もやめてしまったのだ。要は原発テロにも自衛隊は素早く対応できないのだが、それにもかかわらず小池氏も無関心を決め込んだのである。(緑風出版 1600円+税)