「日米開戦へのスパイ」孫崎享著

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 昭和史に残るスパイ事件が1941年に起きたゾルゲ事件だ。だが、この事件には謎が多い。ソ連の諜報員、リヒャルト・ゾルゲの協力者とされた尾崎秀実は、10月15日に逮捕されたことになっているが、実は14日らしい。当時、日米開戦をめぐって近衛文麿首相と東条英機陸相が対立しており、第3次近衛内閣が崩壊した後は、東条を除外して第4次近衛内閣を組閣すると思われていた。そのタイミングでゾルゲ事件が起きたのだが、尾崎は近衛首相のブレーンだった。16日に近衛内閣は総辞職し、東条内閣が誕生した。東条は尾崎逮捕に最も積極的だったという。

 元外務省国際情報局長がゾルゲ事件の闇を解明する。(祥伝社 1700円+税)

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