「怪談」小池真理子著

公開日: 更新日:

 秋のある日、「私」は湖畔のペンションに向かう。タクシーの運転手は、ペット連れを受け入れることで知られるそのペンションに、単身で向かう私をいぶかる。実は、20年前、私が28歳のときにそのペンションに愛犬とともに宿泊した知人の達彦が「犬をよろしく」と書き置きを残し、岬の断崖から身を投げたのだ。

 当時、達彦から求愛されていた私は、最後までそれを受け入れなかった。それが彼の自殺の原因かどうかは今も分からない。以来、人生がうまくいかず、同じところをぐるぐると回っているような気がする私は、達彦が最後に宿泊したペンションが閉鎖すると聞き訪ねることにしたのだ。(「岬へ」)

 名手がつづる幻想怪奇小説集。

(集英社 600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる