「手を洗いすぎてはいけない」藤田紘一郎著
日本人は感染症への対応力が衰えてきた結果、自然では生きられない家畜化した状態になっている。日本で、春や夏など季節外れのインフルエンザが流行するのはその証拠だという。
その原因になっているのが行き過ぎた予防策。手洗いも流水で10秒だけで十分なのに、せっけんで入念に洗ったうえで、アルコール消毒までするいまのやり方は、かえって肌を傷め、手を「汚くする」という。人間の免疫組織に影響を与えるアレルギーの新薬を投与すると、がんになった例なども紹介。西洋医学に頼り過ぎるよりも自身の免疫力をアップさせることを考えた方がいい、と主張する。
日本人の清潔第一主義の健康観に警告を発し続けている著者の新刊。健康好きな人にぜひ読んでほしい一冊だ。(光文社新書 780円+税)