「操られる民主主義」ジェイミー・バートレット著、秋山勝訳

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 テクノロジーの進化によって、私たちはさまざまな情報にアクセスすることが可能になった。しかし当初自由をもたらすと思われていたテクノロジーによって、自由で民主的な社会の基盤は破壊されつつあるという。

 例えば自分と似た属性を持つ人と簡単にアクセスできるようになった結果、その集団の不利益に対する怒りは増幅される。ネットによって人は感情的かつ攻撃的になり、民主的な話し合いよりも過激な対立に導かれやすくなるというのだ。

 加えて、さまざまな行動記録が収集される昨今、ビッグデータを利用した選挙戦も珍しくない。米国大統領選においては、国産車購入者が潜在的な共和党支持者であるというデータから、フォード車購入者で最近投票していない人物を説得可能なターゲットとして抽出していたという。

 さらにグーグル検索の表示順位やフェイスブックが投票に及ぼす影響についても言及。プラットフォームを持つ者が独り勝ちする世界の危険性を指摘している。

 (草思社 1600円+税)

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