「綿畑の小屋」ジム・トンプスン著、小林宏明訳

公開日: 更新日:

 物語の舞台は、東部オクラホマ。19歳のトミーは、洪水で両親を失い、養父のカーヴァーと同じく養子のメアリと一緒にこの地に移住してきた。

 養父は金持ちのマシュー・オンタイムから小さな土地を買ったが、トミーはマシューの娘のドナといい仲になっていた。

 そんなある日、土地の下にある石油掘削を巡ってマシューとカーヴァーが喧嘩になり、トミーの家族はマシューから締め出しを食らうことに。その後、マシューが殺害され、トミーは殺人の容疑者となってしまう。無実を訴えるトミーの運命は……。

 著者はスタンリー・キューブリックの映画「現金に体を張れ」や「突撃」にも脚本家として参加した犯罪小説分野の第一人者。没後に人気が高まり、「おれの中の殺し屋」「犯罪者」などの作品が次々と翻訳されている。

 原作が1952年に発表された本書は、不幸な生い立ちに不運が重なり窮地に陥る主人公の内面の変化が、一人称で語られる。ファン待望の一冊。

 (文遊社 2500円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる