「土・牛・微生物」デイビッド・モントゴメリー著 片岡夏実訳
そこで著者は犂を使わない不耕起栽培、土中の菌根菌などの微生物を活性化させ、化学肥料を用いない有機農業への転換を提唱する。さらに、牛などの家畜を集約的に放牧することで土壌の肥沃度を高められる事実も報告している。牛が好ましくない牧草を食べ、その糞により炭素の富む草地が拡大する――ひいては大気中の二酸化炭素の濃度が低下する。つまり、牛は地球温暖化の元凶ではなく救世主となるというわけである。
著者のいう「革命」の中核をなすのは生物多様性と持続可能な農業の2つ。その具体策もふんだんに記されている。豊かな未来へと希望をつなぐ福音の書。
<狸>
(築地書館 2700円+税)