「平成経済 衰退の本質」金子勝著
バブルの頂点と崩壊、その後に続く「失われた30年」で産業競争力は衰え、もはや日本は先進国とは言えないと著者は突き放す。
バブル崩壊後、経営責任も監督責任も問われることなく不良債権の抜本的処理を怠ったため、1997年に金融危機が発生。日本経済の構造が一変し「失われた10年」は、「失われた20年」になった。そして福島第1原発事故でも同じことが繰り返され、さらに「失われた30年」に。
その間、政府は堅実な経済政策に取り組むことなく、ひたすら財政金融政策でずるずるとゾンビ化する企業群を救済。2年で終わるはずの異次元の金融緩和はデフレ脱却に失敗して6年以上も続き、出口のないネズミ講と化してしまった。
そんな平成の30年を総括し、ひたすら「病状」を悪化させてきた衰退の本質に迫る。
(岩波書店 820円+税)