「王家の遺伝子」石浦章一著
王家の遺骨から抽出したDNAの解析で明らかになった、歴史とは異なる史実を明らかにするサイエンスエッセー。
シェークスピア作品で醜悪な悪役として描かれる「リチャード3世」。2012年、500年以上行方が分からなくなっていたリチャード3世の遺骨が発見された。その遺骨が本人のものと特定されたのは、彼の姉・アンの末裔とミトコンドリアDNAが一致したからだ。ミトコンドリアDNAは母親のものがすべての子どもに伝わるゆえに、アンの女系親族をたどって調べたという。
さらに父親から息子に伝わるY染色体をたどると、英王室の意外な真実も浮かび上がる。他にもエジプトのツタンカーメンの母親の正体に迫るなど、科学の力で歴史の謎に挑む。 (講談社 1000円+税)