「どうしても生きてる」朝井リョウ著

公開日: 更新日:

「私」は不倫も暴力もなく離婚した。家賃や光熱費を半分ずつ負担して、平日は食事もそれぞれ外で済ませるような生活だったが、どちらかが欠けると成り立たなくなる何か、というものがなかったのだ。今は9歳年下の恭平という恋人がいるが、仕事をしていても、体の内側から湧き出てくるものがどんどん失われているという感覚がある。いつからか、私は携帯で事故や自殺で死んだ人のSNSのアカウントを特定するようになった。人が死ぬことに前触れなんて何もないという、健やかからかけ離れた論理を実感することで、安心感があった。(「健やかな論理」)

 いつだって少しだけ死にたいと思っている女性の揺れる心を描いた作品など6編の短編。

(幻冬舎 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広末涼子が危険運転や看護師暴行に及んだ背景か…交通費5万円ケチった経済状況、鳥羽周作氏と破局説も

  2. 2

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  5. 5

    露呈された韓国芸能界の闇…“兵糧攻め”にあうNewJeansはアカウントを「mhdhh」に変更して徹底抗戦

  1. 6

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  2. 7

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  3. 8

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  4. 9

    広末涼子が逮捕以前に映画主演オファーを断っていたワケ

  5. 10

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い